今回は私の2人の子供が産まれた際に申請したカナダでの産休,育休手当についてお話ししたいと思います。カナダで妊娠中の方や今後、子供を迎えようと考えてる方の参考に少しでもなればと思います。
ただ、ここでの情報は2024年のものと、私の経験と解釈でのみの話になります。公式な最新の情報ではない場合もあるので,必ずご自分でGovernment of Canadaのページでご確認ください。
そもそもEIとは?
EIとは、Employment Insurance の頭文字を取ったもので日本では雇用保険に当たるもののようです。EIは給料を受け取る時に自動的に差し引かれ、納めていた人が受け取ることができます。上限がありますが、一般的に雇用されている人は給料の1.66%(年によって違います)が給料から差し引かれます。会社は社員の給料から差し引いた金額と会社負担分を政府(Federal)に納める義務があります。
つまり雇用されている私達は、給料が発生するたびに自動的に政府に保険料を納めている形になります。
このEI Premiumを払い続けた人が、必要な時に申請できるのが、EIになります。
EIを受け取れる人は、仕事を失った人、探している人、病気で仕事が一時的にできない人、新生児を迎え入れた人の為の一時的な国からの支援になります。
出産、育児給付金とはどのようなベネフィット?
先程もお伝えした様にEIを受け取れる人は様々な理由で仕事から一時的に離れた人になります。ここでは私が実際に2度、申請した事のある,育休、産休手当についてお話しします。
出産給付金はMaternity benefits 、育児給付金はParental benefits といいます。
出産給付金
- 妊娠してる、または出産したばかりの人のみ
- 予定日の12週前より申請が可能。予定日または産まれた日から17週を過ぎると申請できない。
- パートナーは該当しない
- 最大で15週間受け取れる
- 支給額は平均収入の55%の額
- 支給額は最大$668/週
育児給付金
産休手当後に発生します。パートナーも申請することが可能ですが育休手当の一部を分配する形になります。
そしてstandard parental benefits とextended parental benefits の2つから選びます。
Standard parental benefits
- パートナーもシェアする場合、最大で40週間受け取れるが、1人辺りは最大35週間
- 支給額は平均収入の55%の額
- 支給額は最大$668/週
Extended parental benefits
- パートナーもシェアする場合、最大で69週間受け取れるが、1人当たりは最大61週間
- 支払額は平均収入の33%の額
- 支払額は最大$401/週
この2つは1度決めたら変更はできません。
私はExtended Parental Benefits を申請し、パートナーは申請しなかった為、産休手当15週末+育休手当61週=76週(17.5ヶ月)に渡りEIを受け取り続ける事ができました。
Waiting Periodとは?
EIを申請する際に全ての人にWaiting Periodが1週間発生します。政府のサイトによると、この最初の一週間はEIが払われないと記してあります。
なので私の解釈では産休手当と育休手当の最大合計が、Standard Parental Benefitsの場合、49週(50-1)、Extended Parental Benefitsの場合、75週(76-1)分支払われるのではないかと思っています。
しかし、実際に私のClaimを確認したところ、申請した1週間後から産休手当が支払われ、その後きちんと76週目まで EIが支払われました。
ここは完璧に理解のできなかった所なのでどなたかコメントで助けていただけるとありがたいです。
出産、育児給付金を受け取れる条件
では産休、育児手当を受けられる条件はこちらになります。
- 出産給付金は、妊婦の方、または最近妊娠した方のみ
- 育児給付金は、新生児または養子を養育している方
- 少なくとも1週間は、個人の平均所得が40%以上減少した方
- 請求開始前の52週(およそ1年間)、または前回のEI申請開始から52週のうち,短い方の期間に600時間以上、就労した方
わかりにくいのは最後の項目だと思います。例え、EI premium を収めていても、申請前一年以内に600時間以上働いてない人は対象外になります。600時間というのは,例えば1日7.5時間働いていたら80日、つまり週5日のお仕事を16週間以上していれば大丈夫です。仕事を始めたばかりの人やパートタイムの方はもしかしたら600時間以上働いてない可能性があるので十分注意する必要があります。
第2子の妊娠のタイミングとEI
この600時間という決まりの下で私達は妊活のタイミングを考えさせられました。子供が産まれる前はフルタイムで働いていたので第一子の時は気楽にEIを申請しました。しかし、第二子の出産、育児の際もEIを受け取りたいと思っていたので、最初の育休からの仕事復帰後、600時間しっかり累積しているかを考えながら妊活に進めました。もちろん妊娠は授かり物のなので計画的には行かない事ばかりだと思いますが。結果として私達は第一子と第二子は3歳離れました。結果として2回ともEIを受け取る事ができホッとしています。
申し込み方法
対象となるとわかった方はService Canadaのサイトから申請する事ができます。
必要な情報は以下の通りです。申請を始める前に必ず用意しておきましょう。
- 勤務先の名前とアドレス(過去52週分)
- 退職した仕事の理由
- Social Insurance Number (SIN)
- 育休をシェアする場合、パートナーのSIN 情報
- 苗字
- 振込先の銀行の情報
- 新生児の予定日、または出産日
- 養子を養育した日にち、及び養子をの際に使用したエージェントの詳細
- Record of employment (ROEs)
特にこのROE については、休職や退職した際に被雇用者から必ずもらう書類です。一般の会社の場合は大丈夫だと思うのですが、私が勤めていた飲食関係のオーナーの半分はこの書類の存在を忘れています。なので遠慮せずに自分から呼びかけて確実にROEを発行してもらってください。
まとめ
私はカナダの出産、育児給付金は素晴らしいと思います。実際、12ヶ月から18ヶ月に渡って以前働いていた収入の33〜55%も国が給付してれるのはとても大きな額に匹敵すると思います。
最大の額を貰える人は、
出産給付金が$668×15週=$10,020 、産休給付金が$401×61週=$24,461、合わせて$34,481 も国から支払われます。
この最大の額は逆算して考えると、最大額受け取れる人はフルタイム(週5日、1日8時間)で時給$30以上収入があった場合です。物価高の為、賃金も上昇しているこのご時世、最大の給付金を貰える人も少なくはないと思いますし、最大額でなくても以前の収入の33〜55%を貰えるのはとてもありがたい事ですよね。
注意点ですがこの給付金も課税の収入とみなされますので、年度末の源泉徴収の際に申告する必要はあります。
更に会社によってはその会社からも育児休暇中でも給料が発生する場合もあるそうです。その場合、育休明けにその会社に戻る事が条件で、万が一、そのまま退職した場合は、頂いていた給料わ返済する必要があるそうです。
日本の育児手当はどの様なものなのでしょうか。日本で産休、育休をとったことがないのでわかりませんが、共働きを望んでいる場合、多くの方が赤ちゃんが1歳になる前に仕事に戻っている印象です。それに比べてカナダの多くの人が少なくとも1年は育休をとっている様に思います。
国民健康保険により出産費用も免除されたりと、異国で仕事を休んで子供を育てたいと考えている方は、カナダはとてもおすすめの国だと感じます。